採用サイト・採用ページのデザインを業界別に20事例紹介。IT・メーカー・建設・小売など、各社が何を強みにし、なぜその構成を選んだのかを考察します。構成要素の一覧と設計チェックリスト付き。
この記事では、
- 採用ページの基本構成要素
- 業界別のデザイン事例20選
- 採用ページ 設計チェックリスト
を解説します。
「採用ページって、どうデザインすればいいんだろう」
採用ページは、求職者が「この会社で働きたい」と思うかどうかを左右する重要なページです。しかし、採用ページの正解は一つではありません。同じ業界でも、会社の強みが違えば見せ方はまったく変わります。
採用ページとは
採用ページとは、企業が求職者に向けて仕事内容・社風・募集要項を伝えるページです。コーポレートサイトの下層ページとして設置される場合もあれば、独立した採用サイトとして運用される場合もあります。
採用ページが果たす3つの役割
① 求職者の「ここで働きたい」を引き出す
採用ページは、求職者が企業に興味を持った後に訪れる「判断の場」です。仕事内容・社風・働く環境を具体的に伝えることで、「この会社で働きたい」という意思決定を後押しします。
② 企業カルチャーを伝え、ミスマッチを防ぐ
入社後のミスマッチは、企業にとっても求職者にとっても大きなコストです。採用ページで企業のカルチャー・価値観・働き方を正直に伝えることで、「合わない人が応募しない」という健全なフィルタリングが機能します。
③ 応募への心理的ハードルを下げる
「応募してみたいけど、不安がある」——そんな求職者の背中を押すのも採用ページの役割です。選考フローの明示、FAQ、社員の声など、不安を解消するコンテンツが応募率を左右します。
採用サイトに必要な構成要素
デザインの前に、まず「何を載せるか」の構成を整理しましょう。
基本の構成要素
| 要素 | 役割 |
|---|---|
| キャッチコピー・ビジュアル | 第一印象を決める。企業の世界観を一瞬で伝える |
| 会社紹介・ミッション | 「何をしている会社か」「何を目指しているか」を伝える |
| 社員紹介・インタビュー | 「どんな人が働いているか」を見せ、共感を生む |
| 募集要項(職種・条件・待遇) | 求職者が最も知りたい情報。明確に記載する |
| 数字で見る会社 | 設立年・社員数・平均年齢・有給取得率など、客観的なデータ |
| 福利厚生・制度 | 働く環境の具体的な魅力を伝える |
| 選考フロー | 応募から内定までの流れを可視化し、不安を解消する |
| 応募ボタン(CTA) | ページ内の複数箇所に配置し、いつでも応募できるようにする |
| FAQ(よくある質問) | 求職者の疑問を先回りして解消する |
コンテンツ量の目安
- 募集職種1〜2種:1ページ完結で十分
- 募集職種3〜5種:職種別ページへの導線が必要
- 募集職種6種以上:採用サイトとして独立させることを検討
採用サイトのデザイン事例20選
KASOUに掲載されている採用ページの中から、業界別に20件を厳選して紹介します。
IT・Web
① 株式会社kubell(IT/SaaS)
「人とテクノロジーで、99.7%の働くを変える」——Chatworkで築いた顧客基盤を起点に、BPaaSの社会実装を掲げるkubellの採用サイト。イベント・メディアなどの採用広報コンテンツが充実しており、採用サイト自体がオウンドメディアとして機能する設計です。
ミッションの数字「99.7%」が具体的で記憶に残りやすく、「日本の産業構造の変革」というスケールの大きさで求職者の志を刺激する。採用サイトを独立ドメインで運用し、コーポレートサイトとは異なるトーンで「一緒に挑む仲間」を募る構成です。
② LINEヤフー株式会社(IT/テック)
「世界を魅了する、『WOW』で『!』なユーザー体験。」というキャッチコピーを起点に、中途採用・新卒採用を明確に分離した構成。テクノロジー&デザインを独立セクションとして設けているのが特徴的です。
採用情報公式SNSアカウントへの導線も設置されており、採用ページ単体ではなく「採用コミュニケーション全体」の入口として設計されています。大規模テック企業ならではの、チャネルを横断した採用設計の参考になります。
③ 株式会社ノースサンド(ITコンサル)
数字データ・FAQ・福利厚生・オフィス環境と、あらゆる情報を網羅的に掲載する「情報量で圧倒する」アプローチ。求職者が知りたいことをすべてこのページで完結させる設計です。
ITコンサルティング企業として「透明性」を重視する姿勢が、採用ページの情報量にそのまま表れています。「聞かなくてもわかる」状態を作ることで、応募前の不安を徹底的に排除する設計です。
④ Locomotive(Web制作・海外)
カナダのWeb制作会社。Careers → Culture → Trips → Our Values(Embrace flexibility / Cultivate genuine friendships / Have room to grow / Have your team's back)→ 職種一覧という構成。
「Trips」という社員旅行のコンテンツを採用ページに組み込んでいるのが独自。Valuesも「柔軟性」「友情」「成長」「チームワーク」と、制度ではなく人間関係の質で惹きつける設計です。海外のWeb制作会社がカルチャーをどう見せるかの参考として。
⑤ MI-6株式会社(AI/マテリアルズ)
「仕事を知る」「人を知る」「環境を知る」——「知る」で統一した3段構成の採用サイト。社員インタビューに加えて「グループトーク」という複数人での対話形式を採用しているのが特徴です。
マテリアルズ・インフォマティクスという専門性の高い事業を、「知る」という平易な言葉で段階的に理解させる設計。グループトークは、1対1のインタビューでは見えない社員同士の関係性やチームの雰囲気を伝える手法として参考になります。
⑥ 株式会社グッドパッチ(UIデザイン)
「ハートを揺さぶるデザインで世界を前進させる」——UIデザイナー職種に特化した採用ページ。全職種共通の採用ページではなく、職種ごとに独立したページを用意する設計です。
デザイン会社が「UIデザイナー」という特定の職種に絞ってページを作ること自体が、「この職種をどれだけ重視しているか」のメッセージになっています。職種が多い企業で、特に採用を強化したいポジションがある場合の参考に。
広告・デザイン・映像
⑦ Axis.ov-Films(映像制作)
「Who we're looking for」で求める人物像を3つ提示し、Requirement → Contact へつなぐ極限まで削ったミニマル構成。映像制作会社らしく、テキスト量を最小限に抑えてビジュアルと余白で世界観を伝えます。
「好きなこととして、クリエイティブを楽しめる人」「新しいことを学び、柔軟に取り入れられる人」「諦めずにやり抜く力をもつ人」——募集要項ではなく「人物像」から入る構成は、スキルよりもマインドを重視する姿勢の表れ。情報を足すのではなく引くことで、クリエイティブへの自信を表現する設計です。
メーカー・製造
⑧ ぺんてる株式会社(文具メーカー)
「はじめに知る、ぺんてる」→ トップメッセージ → 特集 → 仕事・職種紹介 → 社員インタビュー → 働く環境。「はじめに知る」という導入セクションが独自です。
文具メーカーとしての知名度はあっても「どんな会社か」は意外と知られていない——その前提に立ち、まず会社の全体像を掴んでもらう設計。「特集」コンテンツを設けることで、時期やテーマに応じた情報発信ができる柔軟な構成になっています。
⑨ 貝印株式会社(日用品メーカー)
「伝統の刃物の技で世界の、未来の暮らしに。」——会社を知る → 東京本社ツアー → 数字で見る貝印(グッドデザイン賞・商品アイテム数・拠点)→ 製品とサービスを知る → 仕事と人を知る → 取り組み。
採用ページなのに製品紹介が充実しているのが最大の特徴。「この製品を作っている会社で働きたい」という動機に訴えかける設計です。バーチャルオフィスツアーで東京本社の中を見せるなど、「会社の中身を全部見せる」透明性の高い構成。製品・ブランドに誇りを持つメーカーの採用ページとして教科書的な事例です。
⑩ 株式会社池田模範堂(製薬)
「『こだわり』を持つ仲間たちと、とことんやれるこの会社で、私たちにしかできない一番手商品を。」——PICKUPコンテンツを起点に、社員インタビューが充実した採用サイト。
「ムヒ」で知られる製薬メーカーが、「こだわり」と「一番手商品」というキーワードで求職者の共感を狙う設計。社員インタビューの量が突出しており、「どんな人が、どんなこだわりを持って働いているか」を具体的に見せることで、企業文化への理解を深める構成です。
⑪ 有限会社KKI製造部(食品包装材製造)
愛知・厚木・大阪に製造拠点を構える食品包装材メーカーの採用サイト。「女性も活躍中!」を前面に打ち出しているのが特徴です。
製造業は「男性の職場」というイメージが根強い業界。そのイメージを覆すメッセージを採用ページの軸に据えることで、従来リーチできなかった層への間口を広げています。業界のステレオタイプを意識的に壊す採用ページの設計として参考になります。
⑫ 東芝エレベータ(昇降機メーカー)
MY PAGE・ENTRYボタンを最上部に配置し、「動画でサービス体系を知る」→ 技術系総合職 → 施工管理・工事技術職 → 事務系総合職と職種別に明確に分離した構成。
エントリー導線を最上部に置くのは、すでに応募意思のある求職者を逃さない設計。その下に動画と職種別の情報を展開することで、「まだ迷っている人」にも対応する二段構えです。エレベーター・エスカレーターという「体験しないとわからない仕事」を動画で伝える判断も的確です。
建設・インフラ
⑬ 鈴木建設株式会社(建設)
千葉県旭市で50年以上の実績を持つ建設会社。「地域に根ざして50年以上」という歴史と、設計から施工・アフターフォローまでの一貫対応を強みに打ち出す採用ページです。
地方の建設会社にとって、採用ページは「地域で働くこと」の魅力を伝える場でもあります。公共・民間・個人住宅を横断した総合建築という事業の幅広さを見せることで、「建設業=きつい」というイメージではなく「地域の暮らしを支える仕事」として再定義する設計です。
⑭ JR東日本(鉄道)
「その想いが、始発になる。」——メッセージ → 事業を知る → 人を知る → 環境を知る → 仕事を知る → イベント → 募集要項 → FAQ → INTERNSHIP → VISION → MEDIA → ENTRY / MYPAGE。12セクションを網羅した採用サイトの最大規模の事例です。
キャッチコピーで「想い」を起点にし、事業→人→環境→仕事と段階的に情報を展開。鉄道という「体験しないとわからない仕事」を、動画・メディアコンテンツで疑似体験させる設計です。VISIONセクションで未来像を示し、INTERNSHIPで「まず体験してみる」導線も用意。情報量で圧倒しながらも、求職者の心理に沿った導線設計がされています。
⑮ JR西日本電気テック(鉄道設備)
「【あした】をつなぐ仕事。」——ABOUT → STORY → PERSON(クロストーク・入社後の働き方・キャリアデザイン・働く環境・福利厚生)という3段構成でストーリーで導く設計。
JR東日本が「情報量で圧倒する」のに対し、西日本電気テックは「会社理解→共感→自分ごと化」という求職者の心理に沿った3ステップで設計。PERSONセクションでクロストーク・働き方・キャリア・環境・福利厚生と、求職者の不安を順番に解消していく構成です。規模が大きくない企業でも、ストーリーの力で求職者を惹きつけられることを示す事例です。
⑯ 大和電機グループ(電気設備)
01 → 02 → 03 → 04 → ENTRY というナンバリングで構成されたシンプルな採用ページ。「電気を創るだけでなく、守る・蓄える・使う・供給するを一貫してお届けできるネットワーク」が強みです。
ナンバリング構成は、求職者に「順番に読めばわかる」という安心感を与えます。電気設備という専門的な事業を、ステップバイステップで理解させる設計。一貫体制という強みを、ページ構成自体で体現しています。
⑰ 株式会社富信(ねじメーカー)
岐阜県八百津町に本社を置く、年間約5億本のねじを製造する冷間圧造メーカー。社員インタビューの個別ページに「1日のスケジュール例」を掲載しているのが特徴です。
「ねじメーカーで働くって、具体的にどんな1日なの?」——求職者の素朴な疑問に、タイムライン形式で答える設計。社員インタビューに1日のスケジュールを組み合わせることで、「この人と同じような1日を過ごすことになる」という具体的なイメージを持たせます。製造業の採用ページで「仕事の具体性」を伝える手法として参考になります。
サービス・小売
⑱ Zoff(メガネ小売)
Voice(社員の声)→ Philosophy(Mission / Vision / Message+「メガネの商売とは?」「Zoffが大切にしているコト」)→ Topics → 職種紹介(企画→生産→流通→販売)→ Environment(店舗・本社・バーチャルオフィス見学・バーチャル店舗見学)。
社員の声を最初に置き、理念で共感させ、バリューチェーン全体を見せるという三段構成。「メガネの商売とは?」という問いかけは、小売業の仕事を「ただモノを売る」以上のものとして再定義する試み。バーチャルオフィス見学・バーチャル店舗見学で「実際の職場」を見せるなど、求職者の不安を解消するコンテンツが充実しています。小売業の採用ページとして、理念と具体性を両立させた好例です。
現場・専門職
⑲ 上球磨森林組合(林業)
福利厚生(年3回の賞与・サマータイム制度・現場手当・男性職員の育休取得実績・髪色自由!)→ 募集職種6種(事務管理・森林整備・土木・林産・集出荷・加工)→ 採用応募。
福利厚生をページの最上部に配置するという、一般的な採用ページとは逆の構成。「林業=きつい・待遇が悪い」というイメージを最初に払拭してから、職種の多様性を見せる設計です。6職種を提示することで「林業=木を切る仕事」というステレオタイプを覆し、事務管理から加工まで幅広い間口を作っています。「髪色自由!」という一言が、堅いイメージの業界に親しみやすさを加えています。
⑳ 嘉瀬こどもの森(認定こども園)
職員採用 → 働く環境・福利厚生 → ICTで思いの共有 → 募集要項 → お問い合わせ。「先生同士が仲良く、働きやすい職場です。」
「ICTで思いの共有」というセクションが独自。保育業界でICTを活用していることを採用ページで打ち出すのは、「古い体質ではない」「業務効率化に取り組んでいる」というメッセージです。「先生同士が仲良く」という率直な表現も、保育士が転職時に最も気にする「人間関係」に直接応える設計。業界特有の不安に正面から向き合った採用ページです。
採用サイトの設計チェックリスト
採用サイトを設計・レビューする際に使えるチェックリストです。
構成・情報設計
- クライアントの「強み」が明確になっているか
数字?人?理念?製品?環境?——強みによって見せ方が変わる - その強みがページの最も目立つ位置に配置されているか
- 募集要項(職種・条件・待遇)が明記されているか
- 選考フローが分かりやすく提示されているか
- 応募ボタン(CTA)がページ内の複数箇所に配置されているか
- 求職者のよくある質問(FAQ)が用意されているか
- 社員紹介・インタビューなど「人」が見えるコンテンツがあるか
デザイン・UI
- CTAボタンが目立つデザインで、スクロールしても到達しやすいか
- 募集要項の表組みが読みやすいか
余白・フォントサイズが適切か - モバイルで閲覧・応募しやすいか
- 写真・動画のクオリティがブランドイメージに合っているか
- 職種が複数ある場合、タブやカードで整理されているか
ビジュアル・ブランド
- サイト全体のトーン・カラーと統一感があるか
- 採用ページ独自の世界観が意図的に設計されているか
コーポレートサイトとのトーンの違いが意図的かどうか - 情報量に対して余白が適切に確保されているか
まとめ
採用サイトのデザインで押さえるべきポイントを整理します。
① 設計は「業界の定石」ではなく「会社の強み」から始める
同じIT企業でも、kubellは「ミッション」、ノースサンドは「情報量」、Locomotiveは「カルチャー」で勝負しています。業界で決まるのではなく、その会社が何を強みにしているかで見せ方が変わります。
② 求職者の不安を先回りして解消する
上球磨森林組合が福利厚生を最上部に置くのも、嘉瀬こどもの森が「先生同士が仲良く」と書くのも、求職者が抱える不安に正面から応えるため。「何を伝えるか」だけでなく「何を不安に思っているか」から設計を始めましょう。
③ 採用ページ自体が「会社の強み」の証明になる
Axis.ov-Filmsのミニマルな採用ページはクリエイティブ力の証明であり、貝印の製品紹介が充実した採用ページはブランドへの誇りの証明です。採用ページのデザインそのものが、会社のメッセージになります。
④ KASOUの事例でデザインの引き出しを増やす
採用ページのデザインは「正解」が一つではありません。会社の強み・業界・規模によって最適解は変わります。KASOUに掲載されている多くの実例を見ることが、設計力を高める最短ルートです。
採用サイトデザインの一覧はこちら!
小山 浩行
2026.04.08 更新この記事を共有する
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