1. UIとUXの違いとは? Webデザイナーの基礎知識
UIとUXの違いが曖昧なままだと、ユーザーの求める体験を設計するのが難しくなります。まずはこの2つの基本的な考え方をしっかり理解しておきましょう。
- UI(ユーザーインターフェース)
ボタンやメニューなど、ユーザーが目にして触れる“見た目”の部分。 - UX(ユーザーエクスペリエンス)
そのUIを使って得られる“体験”や“満足度”のこと。
2. Webデザイナーが覚えておくべきUI・UX用語一覧
以下では、Webデザインや制作に関わる方が現場でよく使う用語を、テーマ別に整理して紹介します。
2-1. UIデザインに関する用語

UI(ユーザーインターフェース)に関わる用語は、画面のレイアウトや見た目の要素に関する内容が中心です。
- ワイヤーフレーム
意味:Webページの構成を線や四角でシンプルに表現した設計図。
解説:色や画像を使わず、テキストやボタンなどの配置だけを示した「骨組み図」です。これにより、デザイナーやクライアントと構成の方向性を確認することができます。
開発の初期段階で非常に重宝されます。 - モックアップ
意味:完成に近い状態のビジュアルデザイン。
解説:ワイヤーフレームの次の段階で、色やフォント、画像も含めたデザイン案のこと。
実際の見た目を確認しながら、クライアントとの合意形成を図るために使用されます。
コーディング前の「完成イメージ」とも言えます。 - レスポンシブデザイン
意味:画面サイズに応じてレイアウトが自動で最適化されるWebデザイン手法。
解説:PC、スマホ、タブレットなど、閲覧するデバイスに応じてレイアウトが変わります。
HTMLやCSSを工夫することで、1つのサイトで複数の環境に対応できるのが特徴です。 - フラットデザイン
意味:影やグラデーション、立体感を排除した、シンプルで平面的なデザインスタイル。
解説:ボタンやアイコンなどのUI要素を、陰影や装飾を使わずに、単色やミニマルな表現で構成するのが特徴です。
AppleのiOS 7やGoogleのマテリアルデザインの登場以降、広く普及しました。
フラットデザインのメリットには以下のような点があります:- ページの読み込みが速くなる(画像の装飾が少ないため)
- シンプルで分かりやすく、UIが直感的
- スマホやタブレットなど、小さな画面でも視認性が高い
- 「どこが押せるのか分かりにくい」というデメリットもあるため、
アフォーダンスやマイクロインタラクションを併用して、ユーザーの迷いを減らす工夫が求められます。
- アフォーダンス
意味:見た目から「どう操作するか」が自然と分かるデザインの特徴。
解説:「このボタンは押せそう」「このバーはスライドできそう」といった直感的に伝わるデザイン要素のこと。
ユーザーの迷いを減らし、操作性を高めるために重要です。 - CV(コンバージョン)
意味: ユーザーがウェブサイトやアプリで設定された目標のアクションを完了すること。
解説: コンバージョンは、ウェブサイトやアプリで設定された目的(例えば、購入、会員登録、資料請求など)を達成することを指します。
コンバージョン率(CVR)は、その目標を達成したユーザーの割合を示し、UI/UXデザインにおいて重要な指標です。
コンバージョンの向上は、ユーザーの行動を最適化することで達成され、デザインや機能改善に反映されます。
たとえば、購入ボタンの配置や色、フォームの簡素化などの変更が、コンバージョン率を高める効果があります。 - CTA(コール・トゥ・アクション)
意味:ユーザーに「次の行動」を促すパーツや文言。
解説:「資料請求はこちら」「無料で試す」「今すぐ購入」など、具体的な行動を誘導するための要素です。
ボタンやバナーなどで使われ、コンバージョン率を左右する非常に重要な部分です。 - ファーストビュー
意味:Webページを開いたときに、スクロールせずに見える最初の範囲。
解説:第一印象を左右する重要な部分で、キャッチコピーや魅力的なビジュアルが配置されます。
このエリアで「続きを見るかどうか」が決まるため、特に力を入れてデザインすべき領域です。
2-2. UX設計・体験改善に関する用語

UXは「使いやすさ」や「体験の流れ」を設計する上で欠かせない考え方です。こちらではUX設計の基礎を支える重要用語をご紹介します。
- ペルソナ
意味:サービスやサイトの理想的なユーザー像を、具体的な人物として定義したもの。
詳細:名前・年齢・職業・趣味・悩みなどを設定することで、ユーザーのニーズや行動パターンを明確化し、デザインの方向性を定めることができます。 - カスタマージャーニー
意味:ユーザーが商品やサービスを知ってから、購入・利用・リピートに至るまでの行動プロセスのこと。
詳細:各フェーズで「ユーザーが何を考え、どう行動するか」を視覚化した図
(カスタマージャーニーマップ)を作ることで、UX改善やマーケティング施策が明確になります。 - ABテスト
意味:2つ以上のパターンを比較し、どちらがより良い成果を出すかを検証する手法。
詳細:ボタンの色、見出しの文言、レイアウトなどを変えたページをユーザーにランダムに表示し、クリック率やコンバージョンを比較して最適解を見つけます。 - ユーザビリティ
意味:製品やサービスの「使いやすさ」を示す指標。
詳細:UIの分かりやすさ、エラーの少なさ、目的達成までのスムーズさなどを総合的に評価します。
ユーザーにとって「迷わず使えるか」が重要です。 - アクセシビリティ
意味:障害のある人や高齢者など、すべてのユーザーが平等にWebサービスを利用できるようにする考え方。
詳細:文字サイズの調整、色のコントラスト、キーボード操作の対応、音声読み上げへの最適化など、誰もが利用しやすいデザインが求められます。 - セッションリプレイ
意味:ユーザーが実際に操作した動きを録画・再生して検証するツール。
詳細:スクロール・クリック・フォーム入力などの操作履歴を可視化することで、UXの問題点を発見しやすくなります。 - NPS(ネット・プロモーター・スコア)
意味:ユーザーがそのサービスを他者にどれだけ推薦したいかを数値で表した指標。
詳細:「このサービスを友人や同僚にすすめる可能性はどのくらいですか?」という質問に対する回答(0~10点)をもとに、ファン度合いを評価します。
2-3. ユーザー調査・分析に関する用語

UX改善は、ユーザーの実際の行動や心理を“調査”するところから始まります。調査・分析に役立つ用語も覚えておきましょう。
- ヒートマップ
意味: ユーザーの視線やクリック、スクロールの位置を色で可視化する分析ツール。
解説: ページ内のどこがよく見られているか、どこがクリックされているかを「赤」「黄」「青」などの色で示します。CTAボタンの配置やファーストビューの改善に非常に有効です。
ユーザーの関心の偏りや、注目されにくいエリアを発見できます。 - ファネル分析
意味: コンバージョンに至るまでの各ステップで、どこでユーザーが離脱しているかを分析する手法。
解説: サイト訪問から購入完了までの一連の流れを「ファネル(漏斗)」として可視化し、どの段階でどれだけのユーザーが離脱しているかを把握します。
フォーム離脱やカート放棄の対策に活用されます。 - インタビュー調査
意味: 実際のユーザーに直接話を聞き、ニーズや不満を把握する調査方法。
解説: ユーザーの発言から「なぜそう思ったのか」「どう感じたのか」といった深いインサイトを得られます。
定性調査として、UI改善や新機能開発のヒントになります。 - アンケート調査
意味: 多数のユーザーに同じ質問をして意見や傾向を集める調査手法。
解説: ユーザー満足度やニーズを広く把握するための定量調査です。
選択式や自由記述の形式で実施され、ユーザーの属性や傾向分析に向いています。 - コンテキストインタビュー
意味: ユーザーの実際の使用環境で行うインタビュー調査。
解説: オフィスや自宅など、ユーザーが実際にサービスを使う場所で観察とヒアリングを行います。
自然な行動や本音が引き出せるため、ユーザー体験の本質を捉えることができます。
2-4. 情報設計・ナビゲーションに関する用語

ユーザーが迷わず操作できるように、情報構造やナビゲーションの設計もUI/UXでは非常に重要です。
- 情報設計(IA)
意味: 情報やページの構成をわかりやすく整理する設計手法。
解説: サイト内の情報を「分類・階層化」し、ユーザーが直感的に目的のコンテンツへたどり着けるようにします。
サイトマップやメニュー構造などの設計にも関わります。 - パンくずリスト
意味: 現在のページがWebサイトのどの位置にあるかを示すナビゲーション。
解説: 「トップ > カテゴリ > 商品詳細」などのように表示され、ユーザーが迷わず前の階層に戻れるようにします。SEO対策にも効果があります。 - ハンバーガーメニュー
意味: 三本線のアイコンで表示される、スマホ向けの隠れたメニュー。
解説: スマホやタブレットなど、画面サイズが小さいデバイスでナビゲーションを省スペースで表示するためのUI要素です。クリックでメニューが開閉されます。 - タブナビゲーション
意味: 複数のカテゴリを切り替えて表示できるUI。
解説: 商品ページにある「詳細」「レビュー」「仕様」など、タブをクリックすると内容が切り替わるUIです。
情報量が多いページでも、ユーザーがスムーズに情報へアクセスできるようにします。 - プライマリナビゲーション
意味: サイトの主要なグローバルメニュー。
解説: 「ホーム」「サービス」「料金」「お問い合わせ」など、どのページでも表示されるサイトの基本的なナビゲーションです。サイト全体の構造を把握しやすくします。 - サブナビゲーション
意味: プライマリナビゲーションを補助する、セクションごとのナビゲーション。
解説: 「サービス」ページ内で「プラン紹介」「導入事例」「Q&A」といった小カテゴリを切り替えるナビゲーションです。
ページ内の移動や情報整理に役立ちます。
2-5. デザインシステム・UI設計思想に関する用語

プロジェクトやチーム間での一貫性を保ち、効率的にUIを設計するためには、設計の基盤となる考え方をしっかりと理解しておく必要があります。
以下では、UIデザインにおける設計思想やシステムに関連する重要な用語を紹介します。
- アトミックデザイン
意味: UIを「原子→分子→有機体」など、小さな単位から組み立てていく設計理論。
解説: アトミックデザインでは、UIを最小単位(原子)から組み立て、それらを組み合わせて複雑なUIコンポーネント(分子、有機体)を作り上げます。
この考え方により、再利用可能で一貫性のあるデザインが実現します。 - コンポーネント
意味: 再利用可能なUIパーツ(例:ボタン、カード、モーダルなど)。
解説: コンポーネントは、UIの基本的な構成要素で、設計と開発の際に何度も繰り返し使用できるようにデザインされた部品です。
これにより、一貫性が保たれ、効率的にUIを作成できます。 - デザインシステム
意味: カラー、フォント、UIコンポーネントなどをルール化した仕組み。
解説: デザインシステムは、デザイン要素を統一し、開発者やデザイナーが一貫したデザインを実現できるようにするためのガイドラインやツールのセットです。
これにより、企業やプロジェクトでデザインの標準を確立し、迅速に作業を進めることができます。 - スタイルガイド
意味: ブランドやデザインのルールをまとめたドキュメント。
解説: スタイルガイドは、フォント、カラー、レイアウトなど、ブランドのデザインに関連するすべての規定をまとめたガイドラインです。
これを利用することで、異なるデザインチームや開発者が同じ基準に従って作業することができます。 - デザイントークン
意味: 色・余白・フォントサイズなどをコードで定義し、デザインの一貫性を保つ要素。
解説: デザイントークンは、デザインの構成要素(色、フォント、間隔など)をプログラム可能な変数として定義し、開発環境に組み込むことで、
デザインの一貫性と変更管理を容易にするための仕組みです。
3. よく使うUI/UX用語ベスト10(初心者向け)
「全部覚えるのは大変…」という方のために、まず押さえておきたい頻出用語をピックアップしました。
- UI / UX
- ワイヤーフレーム
- モックアップ
- レスポンシブデザイン
- CV(コンバージョン)
- CTA(コール・トゥ・アクション)
- ファーストビュー
- ペルソナ
- ABテスト
- ユーザビリティ
4. まとめ:用語を理解して実践に活かそう
UI/UXの用語を理解することで、クライアントとのやりとりや開発チームとの連携がスムーズになります。
見た目だけでなく、ユーザーにとって使いやすい・伝わりやすいデザインを実現するために、ぜひ本記事をブックマークしておいてください。
y.kobayashi
2025.05.12この記事を共有する
この記事を共有する
Pinterest
で保存するLINE
で共有するX
で共有するこのページのURLをコピー
https://kasoudesign.com/knowledge/design-word/
Close