
杉山 莉奈RINA SUGIYAMA
フリーランスのWebデザイナー。前職は事務職。妊娠を機に、「子育てと両立できる仕事」を探し、未経験からオンラインスクールでWebデザインを学ぶ。
子育てとキャリアの両立に悩む人は少なくありません。
今回は、妊娠を機に会社員からフリーランスのWebデザイナーへとキャリアチェンジした
杉山莉奈さんにインタビュー。
未経験からどのようにスキルを習得し、案件を獲得していったのか。
気になる1日のスケジュールや収入の変化、そして仕事へのやりがいなど、そのリアルな声に迫ります。
【仕事内容】 Web制作からロゴ・印刷物まで幅広く対応
フリーランスのWebデザイナーとして、主にどのようなお仕事をされていますか?
主にホームページやランディングページの制作を中心に行っています。
制作の過程で、ロゴや名刺、ショップカードなどのツール類を合わせてご依頼いただくことも多く、
Webだけでなく幅広いデザインに携わっています。
複数の案件を同時に進めることはありますか?
はい。例えば、昨年応募したコンペでロゴデザインが採用され、自分が想定していなかったタイミングでガイドラインの作成に携わることになりました。
常に複数の業務が同時進行しており、忙しい一方で大きなやりがいを感じています。
【転機】 教育業界での経験からデザインの道へ
数ある職種の中から、なぜ『Webデザイナー』だったのでしょうか?
前職は進学塾や予備校を運営する教育業界の会社に勤めており、映像教材のディレクションを担当していました。
その中で、ウェブサイトの再開発プロジェクトに関わる機会があり、Adobeソフトを扱えるという理由でUIデザインを任されることになったのです。
ユーザー視点を意識しながら手探りで進め、なんとかリリースに至りましたが、完成したサイトを振り返ると「作り手の都合が優先され、使いやすさに欠けているのでは」と悔しさが残りました。
コンテンツ自体はとても良いものなのに、Webサイトの魅力不足で十分に伝わっていないのではないかと気づきました。
その経験から「デザインを学び直し、コンテンツの本質的な魅力をしっかりと伝えられるようになりたい」と思い、デザイナーを志しました。
【学習】 オンラインスクールで学び直し、基礎を固める
学習を始めたきっかけや、利用された学習サービス・スクールを選んだ理由を教えてください。
また、これから学習を始める方へ、スクール選びのアドバイスはありますか?
前職では必要最低限のスキルしか身につけておらず、制作の全体像や求められるスキルが理解できていませんでした。
そこで、IllustratorやPhotoshopをはじめとするAdobeツールを、基礎から学べるオンラインスクールの受講を決めました。
自分のスキルを根本から見直せる点に魅力を感じたのです。
Webデザインは常に進化していて「これで完璧!」という状態はありません。
スクールで基礎を学んだ後も継続的に学び続ける必要があります。
これから学習を始める方には、将来も役立つ基礎知識(HTML・CSS・JavaScriptなど)をしっかり学べる環境を選ぶことをおすすめします。
加えて、最新のツールやトレンドに対応しているか、カリキュラム改定時に学べる体制があるかどうかも大切ですね。
【働き方】 子育てと両立するために選んだフリーランス
妊娠・出産という大きなライフイベントを機に『子育てと両立できる仕事』を考えたとき、なぜ会社員ではなくフリーランスという道を選んだのでしょうか?
とても悩んで決断しました。
オンラインスクール卒業時点で、自分のスキルでは制作会社への転職は難しいと感じていました。
出産直後に体力のない状態で、何十件もポートフォリオを送付したり面接を行うのは、現実的ではないな、とも思いました。
そこで「まずは人に見せられる実績を積むこと」が最優先だと考えました。
加えて、夫の転勤で会社を辞めざるを得ない可能性もありました。
子育てと両立しながら柔軟に働ける点で、フリーランスという道を選びました。
【初案件】 プリンとの出会いが仕事につながった
初めて案件を獲得した経緯や、そのときの心境を教えてください。
特に育児をしながらの営業活動やクライアント対応で気をつけたポイントがあれば知りたいです。
出産後、友人との外出先で立ち寄った洋菓子店「グーテ・ド・ママン」さまのプリンに感動したことがきっかけです。
とても美味しくて一口で虜になり、「これはぜひ多くの人に知ってもらいたい」と感じました。
一方で、お店のサイトは古く、スマートフォンから見るとPC版のレイアウトがそのまま表示されていました。
「こんなに有名なお店なのに、少しもったいない」と思い、思い切ってその場で名刺をお渡しして、メールで感想と改善提案をお送りしました。
それがご縁となり、初めてのクライアントワークにつながりました。
案件獲得のプロセスがすごいですね。
名刺を渡すときも、メールの送信ボタンを押すときもとても緊張しました。
お返事をもらえたときは少し舞い上がってしまいました。
勇気を持って飛び込んでよかったです。
実際に制作が始まる時には、育児中のため作業の予定時間が夜間になることや、お返事のタイミングの目安を事前にお伝えしていました。
どうしても日中はお返事できないことが多いので、ご理解いただけてとても感謝しています。

【日常】 家事・育児と並行しながら、計画的に制作を進める日々
子育てをしながら、1日(あるいは1週間)をどのようなスケジュールで過ごされていますか?
仕事と育児の時間のバランスを教えてください。
現在、子どもは週3〜4日、朝8時半から15時頃まで保育園に通ってもらっているので、週18時間程度の作業時間を確保しています。
保育園がお休みの日は、子どもがお昼寝している間や、寝かしつけが終わってから作業しています。
案件のボリュームによっては、睡眠時間を削ったり、土日に作業することもあります。
Web制作はプロジェクトが長期に及ぶことも多いため、引き受けるタイミングを慎重に考えています。ロゴやグラフィックデザインは短時間でも進めやすいため、Webと並行して対応できるか工夫しています。
子供が起きている時間は子どもと向き合う時間としたいので、基本的にパソコンに向かうことはしないようにしています。
結果的に自分の睡眠時間に響くこともありますが、今しか味わえない大切な時間なので、苦には思っていません。
【収入】 会社員時代より減収も、自分に合うバランス
フリーランスとしての収入は、会社員時代と比較してどのように変化しましたか?
前職とは違う、現在の仕事ならではのやりがいや面白さは何ですか?
前職は大手企業勤務だったため、同世代女性の平均より高い年収をいただいていました。
現在の収入はそのおよそ半分程度ですが、週3〜4日の稼働で子育てと両立できていることを考えると、パート勤務よりも良い条件で働けています。
今のライフステージに合ったちょうど良いバランスだと感じています。
前職では制作部門がユーザーに直接関わることはほとんどなかったので、直接お客様のお話を伺いながら、アイデアを形にしていける面白さを感じています。
「一緒にものづくりをしている」実感がやりがいに繋がっています。
【これから】 自分らしいキャリアを描くデザイナーへ
将来的には、どのようなWebデザイナーになりたいですか?
「お客様の伴走者」と言えるような、デザイン全般をお任せいただけるような存在を目指しています。Webだけでなく、フライヤーやパンフレット、ロゴを始めとするブランディングなど、多角的なアプローチで課題を解決できるよう、スキルや提案の幅を広げられるように研鑽を積んでいます。
将来的には、子どもが小学校に上がった頃に再び会社に所属し、デザイナーとしてのキャリアを広げることも考えています。
コンサルティングやディレクションなど新しい役割にも挑戦し、自分のキャリアを見つめ直す機会にしたいです。
最後に、かつてのご自身と同じように、子育てとキャリアの両立に悩み、新しい一歩を踏み出そうとしている方々へメッセージをお願いします。
妊娠や出産を機にキャリアが一度途切れてしまうことは珍しくなく、多くの母親が悩みを抱えています。
でも、どの働き方を選んでも悩みは尽きません。
であれば、どうせ悩むなら「自分も子どもも楽しめる道」を選ぶことが大切だと思います。
仕事には大変なこともありますが、私はデザインや教育に関わっているときは不思議と苦になりません。
だからこそ「苦にならないこと」を仕事にするのが理想だと感じています。
また、Webデザインは一見特殊な分野に思われますが、実はあらゆる業界で活かせるスキルです。
たとえデザイナーとしての道を外れても、学んだ経験は必ず役立ちます。
学ぶことを恐れず、新しいことに挑戦していただきたいです。
これは、今の自分自身にも言い聞かせている言葉です。
y.kobayashi
2025.09.26 更新この記事を共有する
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